LAIという治療法があるのをご存じでしょうか?LAIはLong Acting Injectionの略で、持続性注射剤やデポ剤とも呼ばれています。長時間にわたり効果の持続
する注射をすることで統合失調症の治療をしていきます。これまでの統合失調症の飲み薬の代わりに定期的に注射をうっていく治療となります。
間隔としては2週間に一回、1か月に一回、3ヶ月に一回の3通りがあります。
(現在、当院では1か月に一回のLAIの取り扱いのみです)
飲み薬だとどうしても正確に飲み続けられないことがあるのですが、飲み忘れは統合失調症の症状を悪化させたり、再燃させたりすることが分かっています。ご本人自身もサポートされるご家族やサポートする周りの方の
「飲み忘れがないか?」
「定時に飲めているか?」
ということを日々気にしながら過ごしていくことも治療を継続していく上で
大きな課題と言えると思います。
統合失調症は長期にわたって薬とつきあっていくことが必要な病気なので薬の飲み忘れの心配がないということは大きな生活の質の向上につながると言えるでしょう。またLAIによって確実に薬物治療が継続できるということは症状の悪化や再燃などを未然に防ぎ、安定した日々を過ごしていける可能性を高めてくれるといえます。
当院では、現在はエビリファイLAIを取り扱っています。
主治医に下記のようにお伝えください。
「LAI(エル エイ アイ)の話を聞いてみたい(やってみたい)」
「持続性注射剤の話を聞いてみたい(やってみたい)」
「デポ剤の話を聞いてみたい(やってみたい)」
現在、当院ではエビリファイLAIの実施ができます
飲み薬は、毎日主治医に指定された量を決められた時間に飲む必要があります。エビリファイLAI は、注射した部位(筋肉内)に薬がとどまって徐々に血液に取り込まれるので、一度注射すると効果が長時間続きます。4週間ごとに医療機関を受診して注射をすると、毎日薬をきちんと飲み続けるのと同じ治療効果が期待できます。
エビリファイは飲み薬、LAI と剤形が違っても同じ薬ですから効果は変わりません。ただ、エビリファイLAIは注射すると薬の成分(アリピプラゾール) がゆっくりと体内に吸収されて、血液の中に含まれる薬の濃度が一定になるという特徴があります。そのため、症状が安定する効果が期待できます。
統合失調症は再発を繰り返しやすい精神疾患で、再発を繰り返すと下記のようなリスクがあります。統合失調症治療でもっとも大切なことは再発を防ぐことです。 エビリファイLAI で治療を続けると、いつも身体の中にきちんと薬が入っていることになりますから、症状が安定して、再発を防ぐ効果が期待できます。
再発を防ぐためには、毎日欠かさず薬を飲むことが必要ですが、つい飲み忘れたり、勝手に飲む量を調節したりという経験はありませんか? 1〜10日間であっても服薬を中断してしまうと、飲み忘れのない人に比べて再入院率が約2倍になるというデータがあります。 エビリファイLAI は4 週間ごとに医療機関で注射しますから、毎日の飲み忘れの心配がありません。また、予定日に受診しなかった場合、医療スタッフが気づいて受診を促すことができるので、治療の継続につながりやすいのです。
統合失調症治療の目標は、症状を安定させること、そして「自分らしい生活を取り戻して、生きがいや将来の希望(夢)に向けた一歩を踏み出すこと」にあり、これを「リカバリー」と呼びます。 病気のために中断した勉強や仕事を再開したり、新しいことにチャレンジしたり、リカバリーのあり方は人それぞれです。 リカバリーを目指す上で欠かすことができないのは、正しく治療を続けて再発を防ぐことです。エビリファイLAI は服薬のわずらわしさがなく、再発を防ぐ効果が高いので、薬のことを気にせずリカバリーに取り組むことができる剤形です。 まずは体力づくりをしたり、無理せずにできることからトライして自信を取り戻しましょう。
エビリファイLAIは体の中に薬の成分(アリピプラゾール)がとどまり、4週にわたって治療に必要な血中濃度が続きます(アリピプラゾールの血中濃度の変化(イメージ))。
安定して持続させるために4週間に一度、定期的に通院して治療を続けましょう。
投与開始後2週間はエビリファイの経口薬を併用します。
エビリファイ持続性水懸筋注用を注射する通院日に医療機関に行くことができなかった場合、できるだけ早く医療機関を受診してください。
症状が落ち着いた直後に使用を止めると、病気が再発する可能性が高くなります。症状が良くなったからといって、自分の判断で勝手に注射する通院日に病院に行くのを止めてはいけません。様子を見ながら薬を調整する必要があり、必ず主治医にご相談ください。
エビリファイLAIはお尻の外側に位置する「中臀筋(ちゅうでんきん)」、もしくは肩の外側にある「三角筋(さんかくきん)」 と呼ばれる筋肉に注射します。どちらもLAIを確実に注射できる部位ですが、体格や筋肉量には個人差があるため、大切な神経や血管を傷つけないよう、主治医はあなたに合った注射部位を選びます。どちらか希望があれば、主治医に伝えるようにしましょう。
注射は前回打った部位を避けて打ちます。注射後は注射部位をもまないように気をつけましょう。注射時や注射後に強い痛みや違和感がある場合にはすぐに主治医や医療スタッフに相談しましょう。
中臀筋は三角筋に比べて薬液注入時の痛みが少ないと報告されています。
注射の痛みやお尻への注射を心配に思う方もいるかもしれません。エビリファイのLAIは水溶性で、注射時の痛みが少ないように工夫されています。また、お尻といっても注射するのは比較的上の方ですし、注射時には毛布やタオルなどをかけてプライバシーに配慮してくれます。
もし、注射について心配なことや不安があれば、自分の気持ちを医療スタッフに話してみましょう。
自動車の運転など、危険を伴う機械の操作は行わないようにしてください。
これまで飲んでいたお薬からエビリファイLAIに切り替えた時、好ましくない作用が出ることがあります。
このような場合は、医師または薬剤師に相談してください。
このような場合は、糖尿病など他の病気を合併しているおそれがありますので、医師または薬剤師に相談してください。
このような場合は、医師または薬剤師に相談してください。
ほかの医師を受診する場合や、薬局などでほかのお薬を購入する場合は、エビリファイLAIを使用していることを、必ず医師または薬剤師に伝えてください。
エビリファイLAIを使用中のアルコールの摂取は避けてください。
①妊婦または妊娠している可能性がある方、授乳中の方
②以前にお薬を服用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある方
③授乳中の方は、授乳は避けてください。
エビリファイの飲み薬でみられる副作用はLAI でも現れる可能性があります。また、LAI は注射に関連した副作用として、以下のような症状がみられることがあります。 「何かいつもと違う」「副作用かな」と思ったら、できるだけ早めに主治医や薬剤師に相談しましょう。
次のような症状が出たら、ただちに受診してください。
こんな症状にも注意しましょう:意識の低下、考えがまとまらない、判断力の低下、ふるえ、ものが飲み込みにくい
こんな症状にも注意しましょう:嘔吐、吐き気、ものが飲み込みにくい
こんな症状にも注意しましょう:ものが飲み込みにくい、むせる、咳き込む
こんな症状にも注意しましょう:食欲不振、腹が張る
こんな症状にも注意しましょう:しゃがれ声、判断力の低下、動悸、息切れ、からだがだるい、考えがまとまらない、ほてり、意識の低下、ふらつき
こんな症状にも注意しましょう:手足のこわばり、足のしびれ、手のしびれ
こんな症状にも注意しましょう:考えがまとまらない、手足のふるえ、深く大きい呼吸、判断力の低下、意識の低下、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、意識がなくなる
こんな症状にも注意しましょう:傾眠、意識の低下、考えがまとまらない
こんな症状にも注意しましょう: 死んでしまいたいと思う
統合失調症にはドパミンという神経伝達物質が深く関係しています。エビリファイは、脳内のドパミンのバランスを整えることにより、幻覚・妄想などの症状を抑え、 不安定な精神状態を安定させるともに、やる気がしない、何も興味が持てないといった症状を改善させるお薬です。
ドパミンは情報を伝達する働きをもっており、エビリファイの投薬によりドパミンのバランスが安定化します。
※エビリファイLAIの副作用については、「エビリファイLAIの副作用」をご覧ください。