うつ病の治療には、薬や休養などの他に、
家族やお友達、職場などの本人を取り巻く方々のサポートも大事な要素です。
そのためにはうつ病について正しい知識を持って見守っていただく必要があります。
うつ病とは、
などを理解してサポートしていただけることが回復を助けてくれます。
このページではうつ病になった方の周囲の方々に、
知っていただきたいことを解説します。
当クリニックでは、うつ病についてのページもご用意しております。
うつ病についての詳細はこちらもご覧ください。
“息を抜かなければならないときに抜けない”
“がんばろうと思っていてもがんばれない”のがうつ病です。
うつ病の方は、もう十分がんばっています。
元気がない時に何気なく言ってしまう「がんばって!」は、本人を追い込んだり、
焦りを強くしたりして逆効果となります。
などと、温かい言葉や態度でサポートすることが、
本人にとっては何よりの励ましになるのです。
健康な時は気分がスッキリしないときに、
ドライブに出かけたり、スポーツで汗を流したり、旅行に出かけたりすることで、
いい気分転換になることがあります。
目の前で元気のない姿をみてしまうと、
思わず「気分転換にどこか出かけようよ!」と誘ってしまうこともあります。
でも、うつ病の方にとっては、
ふだんは楽しめることも苦痛に感じたり、負担になってしまうことが多いのです。
しかも、うつ病の時は、
“自分が今行ける状態なのかわからない”
“行きたくないけど、断るのが申し訳ない”など、
正しい判断が出来ない状態であるので、
誘われるがまま行ってみて症状が悪化してしまうということもよくあります。
まずは、心も体も休養が一番です。
周りの方の無理強いで気分転換に出かけるのは控えましょう。
うつ病も回復期に差し掛かってきて、
自発的に「コンビニまで行ってみようかな」など意欲が出てきたら、
近場で短時間で行ける範囲から初めてみてはどうでしょうか?
主治医とよく相談しながら活動量を増やしていってください。
目の前に調子を崩している人がいると「何とかしてあげたい」という思いから、
と原因をはっきりさせたいという気持ちが湧いてくるのは自然なことです。
でも、このような話は本人には負担に感じますし、
サポートしている側も、自分を責めてしまったりして疲れてしまったりします。
すぐさま原因を取り除くことが必要な場合もありますが、
原因究明をするあまり、みんながヘトヘトにならないように注意してください。
また、うつ病は原因がはっきりする場合もあれば、
全く原因が分からない場合も多いといことも認識しておいてください。
うつ病の時は、正しい判断能力や決断力が低下します。
否定的に物事をとらえてしまい「仕事をやめる」「離婚する」などを口にすることがあります。
「今はまずはゆっくり病気をよくしていこうね。良くなったら一緒にゆっくり考えようね。」
と決断は先延ばしにし、
「健康な状態をとりももどしてからでも遅くないし、今はそういう時ではない」
ということを話してください。
うつ病は必ずよくなる病気ですが、
症状の一つに「自殺願望」を持つことがあることはよく知られています。
特に回復期に多くみられます。
うつ病が重い時期は、
自殺行為をおこなうエネルギーも低下しているため行為に及ばないことも多く、
回復期になって行為に及ぶことがあるようです。
回復してきたからと服薬や受診を中断してしまわないよう気を付けてください。
「死にたい」「生きていても仕方ない」と口癖のようにいったり、
ほのめかしたりするということがあれば、十分に注意することがありますが、
全く予兆とは思えない変化の時もあります。
など、「死」を全く連想しない言動が、
後で振り返った時に「あの時、何かいつもと違った。」というようなことが多く、
なかなか予兆を見抜くことは困難です。
少しでも何かを感じたら出来るだけ目を離さず、速やかな受診をしてください。
状況によっては入院が必要になる場合もあります。
回復期を迎えたら、社会復帰を考えて行きます。
うつ病は、回復期になっても調子のいい日と悪い日を繰り返します。
調子のいい日に基準を合わせて活動しすぎると、
症状が悪化してしまうこともありますので、
「ゆっくり、ゆっくり」を合言葉にせかさず見守ってください。
また、服薬や受診を自己中断しやすい時期でもありますので、
継続できるようなサポートをお願いします。
生活リズムが少しずつついてきたら、
「デイケア」に参加することも社会復帰をスムーズにしてくれます。
とくにうつ病では再発を繰り返すことも多いので、
「再発予防」までを見据えたプログラムを利用されることをお勧めします。
当院のデイケア「オアシスプラザ」では、
以上の2つのコースを準備し、サポートしています。
社会復帰してもうつ病は再発しやすい病気のため、
個人差はありますが1年間位は薬物治療を継続することが多いです。
自己中断することなく、しっかりと治療継続できるようサポートしてください。